教授 上原 喜美子 Kimiko Uehara
担当学科
- 看護学部 看護学科
研究テーマ
著書
- ケアする人だって不死身ではない(共同翻訳)
- 教育・事例検討・研究に役立つ看護倫理実践事例46(共著)
Q
先生の研究・活動を
教えてください
2型糖尿病は、インスリン分泌低下やインスリン抵抗性をきたす素因を含む複数の遺伝子に、過食、運動不足、肥満、ストレスなどの環境因子および加齢が加わり発症する生活習慣病の1つであるということは多くの人が知るところとなりました。反面、糖尿病は生活習慣の自己管理ができない病気であるというような社会的不利益を被る事態があり、自分の状態を直視できずに治療とうまく向き合えずに悩んでいる人がいます。また、高血糖を是正しようとするあまり、低血糖を頻発し重症低血糖で救急搬送される人もいます。このような糖尿病の人が個別事情にあわせてコントロール目標の設定、方法を自ら意思決定できるように支援することを研究課題とし、活動を行っています。
Q
この分野の面白さは、
どんなところですか?
人にはみずから選択した計画にそって自分自身の行動を決定する自由があるとされています。糖尿病とともに生活する人それぞれの疾病の程度や年齢、理解度が違っていても、その人に合わせて「これならできるかも」を引き出しながら、それを糖尿病の人自身が「自分でできた」という自己効力感、自己コントロール感を糖尿病とともに生活する人と同じ目線で感じられることです。
授業紹介
成人看護学Ⅱ(成人慢性期看護学)において、糖尿病の症状・治療に伴う看護を担当しています。糖尿病の病態生理、治療法と症状発現までの患者状態、揺れ動く気持ちを「病みの軌跡」理論で整理しながら、患者理解がすすむようにしています。
メッセージ
自分がまだ高校生だったころには、まだ糖尿病はこんなに有名ではなかったのですが、あるとき自分のテーブルではないところから「糖尿病なんだから食べちゃダメ」という言葉が聞こえてきました。一体どういうことなんだろうと思ったことでした。高校生のみなさんには、糖尿病患者のことを知るためにも糖尿病の本ではなく、次にご紹介する2冊をおすすめします。
アーヴィング・ゴッフマン著.石黒毅訳.スティグマの社会学 烙印を押されたアイデンティティ.せりか書房.東京.2003.
鷲田清一.「待つ」ということ.角川学芸出版.東京.2006.