教授 海老田 大五朗 Daigoro Ebita
担当学科
- 福祉心理子ども学部 社会福祉学科
研究テーマ
著書
- デザインから考える障害者福祉 : ミシンと砂時計
- 柔道整復の社会学的記述
- コミュニティビジネスで拓く地域と福祉
- ワークプレイス・スタディーズ:はたらくことのエスノメソドロジー
- 概念分析の社会学2: 実践の社会的論理
Q
先生の研究・活動を
教えてください
社会学の一分野であるエスノメソドロジーを専門として、研究活動をしています。探究しているフィールドは広く、柔道整復、障害者雇用及び就労支援を中心とする障害者福祉、スポーツ(柔道・野球・サッカーなど)、デザインなどですが、基本的には人と人、あるいは人とモノとの相互行為を中心に研究しています。たとえば、博士論文では柔道整復師と患者のコミュニケーションを研究し、『柔道整復の社会学的記述』として上梓しましたし、最近では道具・組織・作業・関係のデザインを中心に研究し、『デザインから考える障害者福祉』を出版しました。何か新しいことを提言したり、既存の体制を批判することよりも、すでになされてきたことや存在するものを明確にすることに、私の研究の特徴があります。
Q
この分野の面白さは、
どんなところですか?
普段私たちが日常的にみたり、したりしているなにげないことについて、言葉を与えていくところに面白さがあります。これは一見するとすでにわかっている当たり前ことを言葉にするだけのように思われますが、私たちはすでに知っていることを実はそれほど精確に理解していません。たとえば私たちは日常的に、誰かに対して「質問する」ということをしています。このとき私たちは「自分が理解できていないことを相手に尋ねる」ということをしているように思えますが、実はそうではありません。「質問する」という誰でもできる行為1つとっても、私たちは「質問する」という行為を記述しきれないのです。こうしたことに気付くことができるのが、エスノメソドロジーのおもしろいところです。
授業紹介
保健医療社会学会という4年生でしか受講できない、難しい科目があります。本講義は、病気と医療の諸問題を社会・文化の文脈の中で捉え、生物医学的なアプローチでは理解が困難なさまざまな事項について、社会学的に考察することを目的としています。たとえばどのような刷新的な治療法であっても、生物医学的な観点からの検討だけで採用されるわけではありません。その採用については、生命倫理的な側面から検討されたり、医療者と患者のインフォームドコンセントによって決定がなされます。本講義は、看護・福祉を目指す学生にとっては、より幅の広い視点や思考の枠組みを提供する内容にデザインされています。
メッセージ
大学生になったら何を勉強するにせよ、本を読まなければなりません。高校時代にしておくとよいことは、読書する習慣を身につけることだと思います。高校のある先生が「大学生になったら本を1000冊くらいは読まないと話にならない」と言っていました。私は1500冊くらい読みましたが、これが多いか少ないかはわかりません。いずれにせよ、もしまだ読書習慣が身についてないならば、推理小説からでもいいから、読んでみるとよいと思います。