Q
先生の研究・活動を
教えてください
大学院生のときはデータ圧縮のアルゴリズムに関する研究をしていましたが,現在はプログラミング教育の分野で研究を行なっています。特に工学系・情報系の学生以外の人たちに対するプログラミング教育を研究しています。小学生から大学生に至るまでのプログラミング教育は未だ体系的なものになっていませんので,その体系化に貢献したいと思っています。
2020年4月から小学校でプログラミングが必修化されましたが,その目的はプログラミング的思考を育成することです。また中学生,高校生へのプログラミング教育の目的は国際的にコンピュテーショナルシンキング(CT)を育成することとされています。このプログラミング的思考とCTの能力を定量的に測定する方法を開発しています。
Q
この分野の面白さは、
どんなところですか?
小学生から高校生までずっと通してコンピュータープログラミングを学ぶというのが現在の地球規模の趨勢ですが,日本は少しだけ欧米諸国に遅れています。私たちはたくさんの目に見えるコンピューターや目に見えないコンピューターにとり囲まれている(1台の自動車の中にも,なん十個ものマイコンと呼ばれるコンピューターが使われています)のに,コンピューターの動作について知らないでいることは,人生の中で大きな不利益になります。誰にも必要なコンピューターについての学習活動に貢献できることは,研究者にとって大きな喜びです。
授業紹介
私が教える「ITと社会」という授業では,ブライアン・カーニハンというコンピューターの発展に大きな貢献を行った人の書いた「ディジタル作法」(英語名 D is for Digital)という教科書を使っています。この教科書は,自分たちが暮らしている世界のことをよりよく分かっておきたいと考える一般読者(専門家ではない人)を対象にしています。
みなさんは,ウェブページやSNSを見ていて,さっき見たあの商品に関係する広告ばかり出てくるな,と感じたことはありませんか?これはみなさんのネット上での行動が記録・追跡されているということで,そのような操作をトラッキングと呼びます。この教科書では,ハードウェア,ソフトウェア,ネットワークについて学びながら最後にはトラッキングの仕組みが分かるようになっています。
メッセージ
1940年代後半に生まれた電子機器コンピューターは,これまでにものすごいスピードで発展し,今ではみなさんをとり囲んでいます。その間コンピューターの技術にはすっかり変わったものもありますが,ほとんど変わっていないものもあります。この変わらないものは,とくに大切ですので,是非とも興味を持って勉強してください。それには先ほど挙げた「ディジタル作法」はとても役立ちます。是非とも読んでみてください。それから,みなさんは決してコンピューターから逃れられませんので,是非とも仲良くなってください。