Q
先生の研究・活動を
教えてください
原因や理由がよくわからなくても、たくさんの事実や情報を丁寧に分析して、病気や困りごとの解決法や予防法を考え、より多くの人の生活を守る学問が公衆衛生や疫学です。こうした公衆衛生や疫学の考えと心理・福祉の考えを合わせて、これまでいろいろな自治体の保健師さんや多職種の人と協力して地域でうつ病の検診や普及啓発等を行うことで自殺率を低下させる実践的な研究活動を行ってきました。また自殺予防のための研修会や講演会の講師を務めることも多いです。最近は自治体と協力して小学生・中学生・高校生の生活習慣と体力の関係について調査研究も行っています。
Q
この分野の面白さは、
どんなところですか?
公衆衛生や疫学の考え方はたくさんの情報の中に隠された真実を見つけ、困っている人の力になる考え方です。例えば友人や家族が困っているのときに、「大丈夫」と言っていても本心は不安でいっぱいじゃないかな・・・って感じたことってありませんか?その気づきは声の大きさや話す速さ、視線、姿勢、顔色・・・いろいろな情報の端々に、小さく・・・でもハッキリと「不安な気持ち」をみなさんが無意識に感じたからですよね。普段、みなさんがたくさんの情報の中に真実を見つけているように、公衆衛生や疫学は社会の中にあるたくさんの情報の中に隠された真実を見つけ困っている人の力になることが、この分野の面白さだと私は思っています。
授業紹介
相談援助演習:相談って「話を聞くだけ」「解決法を教えるだけ」だと思っている学生が多いですが、本当の相談は、困っている人をわかる(=クライエント理解)と、困っていることを一緒に解決する(=支援)の2つを行うことが「相談にのる」ことだと講義しています。また、困っている人から自分から「困っている」と声を上げてくれないと解決の手を差し伸べることができないという学生も多いですが、本当の援助は困っていると声を出さない人や他職者の支援を拒否する人(=本当のクライエント)に対して、解決の手を差し伸べることであり、そうしたSOSを出さない人や拒否する人への支援法を児童相談所や保健所での実践例を基に具体的に講義しています。
メッセージ
自殺や虐待、依存といった問題を抱えた人と関わる中で、正しく生きたいと思う気持ちを持っている人が多いことに気づきました。例えば、虐待する人は、虐待しちゃいけないってわかっていて、してしまうんです。依存や自殺もそうです。この「しちゃいけない」気持ちを大きくするにはどうしたら良いのでしょう?その人ががんばれば良いのでしょうか?私は困難を抱えた人ほど、たくさんの他者と関わり、孤立しないことが大切だと思っています。みなさんも困難を抱えた人の支援者の一人になりませんか?