教授 中平 浩人 Hiroto Nakadaira

担当学科

  • 看護学部 看護学科
  • 大学院 看護学研究科

研究テーマ

著書

  • Epidemiology of Gallbladder and Bile Duct Cancers. Animal experiments for gallbladder and bile duct cancers
  • Dynamic Medicine Vol.2 & 6
  • 産業医の手引き
  • 肝内胆管癌
  • 職業アレルギー

Q 先生の研究・活動を
教えてください

人口オーナス期のわが国は、人口学の視点からもVUCA時代にあると言えます。VUCAとは、変動性(volatility)、不確実性(uncertainty)、複雑性(complexity)及び曖昧性(ambiguity)の頭文字で、先行き不透明で将来を予測し切れない困難を意味します。人口減少による労働力人口の減少は、産業界にとって最大の困難です。これに対しては生産性が鍵となります。その向上のため、労働力が豊富であった時代の発想を変え、社員のスキル向上、快適職場作りやワーク・ライフ・バランス確保等、プレゼンティーズムを防ぐための「働き方改革」が始まっています。さらに、VUCA時代を乗り切るイノベーションを生むのは創造性であり、活性化している企業はそれが豊かで魅力があり、人材が集まります。
産業医として、生産性と創造性が高い企業が増えるよう、健康と安全を介して人と組織が活性化する方法、すなわち産業保健を研究しています。

Q この分野の面白さは、
どんなところですか?

産業医として健康と安全を介して人と組織が活性化できれば、その成果として、労働者個人が働き甲斐を感じ、そういう労働者が集まる事業場が活き活きとし生産性・創造性が高まり、そういう事業場に人材が集まり、その事業場が所在する地域社会の活力が湧きます。また、一人の労働者を考えると、人生100年時代では、在職時代の産業保健で培った心身の健康保持・増進と様々なリスク回避が、退職以降の生き甲斐に繋がります。
産業保健は、働く空間と働いている期間の枠を超えて、地域の将来の議論にも人生の生き甲斐の議論にも必要な視点です。

授業紹介

「公衆衛生」と聞いて何を思い浮かべますか?
履修生の多くが授業のイメージをつかめず戸惑います。しかし、授業が終了する頃には、日本人の「人口構成、出生状況、傷病構造、死亡状況、平均余命、受療状況、医療制度、疾病予防、産業保健、国際保健、健康増進、生活習慣改善、環境影響」などを理解するようになります。
そして、授業で学ぶ知識は、実は日常生活と密接に関連していて、将来の看護師、保健師、助産師及び養護教諭としてだけではなく、一人の国民としても必要だと気づきます。例えば、「新型コロナウイルス」が社会を騒がせても、公衆衛生学的視点で事態の本質を捉えられるようになり、冷静に対応できるでしょう。さらに、これまで持っていた日本人に関する知識のいくつかが、大きな勘違いだったと痛感するでしょう。
そんなちょっと不思議な授業です。

メッセージ

学校から社会に出るときに、あまりに無防備の人が多すぎます。皆さん自身が社会で働くことを想像してみてください。想像できない人は、身近で働いている人をよく観察して見てください。どのような法律の元で人は働くのか、どのように仕事の危険や仕事による健康被害から人は守られているのか、調べてみてください。
これからの「働く」という意味は、苦痛な状態でも懸命に働くこともあるでしょうが、総じて活き活きと働き甲斐をもって仕事をするということです。そのためには、どんなことをしなくてはならないのか、考えてください。実際に企業が行っている「働き方改革」を調査して見ると良いきっかけになるでしょう。

研究テーマ