准教授 谷口 忠義 Tadayoshi Taniguchi

担当学科

  • 短期大学部 人間総合学科

研究テーマ

Q 先生の研究・活動を
教えてください

薪炭業による環境経済史の確立とその拡充を研究のねらいとしています。おおきなくくりでいえば,森林資源の利用と経済活動・発展が両立したかどうか,両立したとすればどうしてか,両立しなかったとすればその理由を探っています。幕末に開港以後,急速に変貌する産業構造,ならびに経済成長していった日本の経済発展の過程において,森林資源はどのような影響を蒙ったのか,資源の持続性を保ちえたかどうか,「持続的発展」と呼べるか否かをテーマとして研究を進めています。そのために,土地利用の量的変化を明らかにしようと,森林面積の変化を推計しています。最近は,森林と原野,「畑」が循環して利用されている歴史実態を踏まえて研究をすすめています。

Q この分野の面白さは、
どんなところですか?

環境経済史は環境と経済とのかかわりを歴史から明らかにする分野です。環境と経済は対立するという言説から環境と経済の調和,そして両者は両立できるへと変化してきました。なぜ対立するのか,あるいは両立するとすればどういった条件や制度が整ったときか,そうした疑問に歴史から「答え」を見つけ出していく分野です。現代の環境問題を考えるコンパスとなりえます。経済学,環境史研究をはじめ,社会科学,人文科学さらには自然科学などさまざまな研究成果から刺激を受け,研究を深めることができる学際的な分野の一つです。また,統計や歴史史料を眺めながら,歴史パズルの欠損部分をいろいろ考えながらパズル全体を組み立てる楽しさ,同時に大変さがあるやりがいのある分野です。

授業紹介

現代環境論
この授業ではコモンズ論の視角から環境問題が発生するメカニズムを理解し,地域の自立・環境問題の解決に向けての方策を考えだすための力をつけることができるように,(1)コモンズ論の歴史的な深化・展開の過程、(2)コモンズの存立条件と,現代社会のなかでコモンズを再生・創造を目指す動きとその理論、(3)環境ガバナンス論といった関連領域をふまえたうえでのこれからのコモンズ論と現実社会,以上の3点の大枠で説明しています。コモンズとは一言でいえばみんなで利用管理しているもの,たとえば大気,海の魚,さらにはネット上のフリー百科事典もコモンズの一例です。

メッセージ

環境経済史は学際的な研究分野の一つです。高校時代には自分が興味を持った事柄に関連する良書を多く読むことをお勧めします。そして,その本で言おうとしていることと,その根拠を理解することが大事です。できれば,さらに自分なりに「疑問」をもって読書領域を広めるとなお良いです。環境経済史の本はまだ少ないですが,斎藤修[2014]『環境の経済史-森林・市場・国家-』岩波現代全書をお勧めします。

研究テーマ