Q
先生の研究・活動を
教えてください
私たちの暮らしに身近な歴史的な建物、特に近世・近代の町家や町並みのデザインについて都市史の視点から研究しています。具体的には、新潟県など豪雪地帯の市街地に発達した防雪通路としての雁木通りについて、その形成や衰退を研究し、さらに保存と継承に向けた啓蒙活動を多年に亘って行ってきました。また近世後期の伝統的な町家の室内意匠について、柏崎(新潟県)や酒田(山形県)を事例に研究し、近年は、明治期における港町新潟の街路空間の都市史的研究や、戦前の豪雪期における都市雪害の実態について研究しています。研究の成果は、公開講座や地域の活性化に向けた啓蒙活動などに活かされています。
Q
この分野の面白さは、
どんなところですか?
歴史的な建物や町並みは、いつも身近なところにあって、目に見える、具体性のあるテーマです。分からないことがあったら、実際にまちを歩くと色々なものが目に飛び込んできます。そのどれもが歴史をもっていて、近世・近代のデザインが継承されたものも数多くあります。私の専門は都市史・建築史ですが、都市や建築の歴史を学ぶことは、同時に各時代のデザインを学び、それを生み出した人々の熱意に触れることができます。興味が尽きることがありません。
授業紹介
1年生後期のインテリアデザイン概論では、暮らしに身近な、家具・ウィンドウトリートメント・照明・インテリアオーナメント・床・壁・天井などのインテリアエレメントの種類や構造、インテリアの歴史、インテリア空間をデザインするための平面計画、色彩計画、関係法規の基本について学びます。特にインテリアの歴史については、日本と西洋に分けて、詳しく解説します。現在の建築業界では少子高齢化の中で、リフォーム・リノベーションがとても盛んです。将来、インテリアコーディネーター等を目指している方には、お勧めの科目です。
メッセージ
建築史との出会いは、高校生の時に読んだ一冊の本です。井上充夫先生の『建築史』という書籍でした。日本、西洋、近代の建築史を通史的に学べる好書で、建築という実学の分野に、歴史を扱う分野があることに驚きました。それ以来ですから、随分と長いお付き合いになります。今でこそ歴史的建物や町並みを活かしたまちづくりは、よく知られるようになりましたが、私が若かった頃は違いました。この分野に興味がある方は、まず地元に残る歴史的建物や町並みに目を向けるてみると良いでしょう。どうしてその建物がそこにあるのか、なぜそのような形をしているのか、誰が建てたのか、どんな材料を使っているのか、その全てに意味があり、研究のテーマとなります。大学は既存の知識を学ぶだけの場所ではありません。社会に広く目を向け、自分自身のテーマを見つけてください。目的をもった、これからの学びに期待しています。